山田悠介さんの新刊「パーティ」ブックトレイラーを監督した川野浩司さんの登場です!最終回となる今回は、ブックトレイラーという新しい動画コンテンツについて深く語ってもらいました。
ブックトレイラーについて
——ブックトレイラーというものを普及したいと思っているのですが・・・
「本の入口としては分かりやすくっていいと思いますよ。現状どうやって本を選んでいるかを考えると、カバーとキャッチコピーとあらすじぐらいで選ばないといけない状況ですよね。そこにブックトレイラーもあると、雰囲気を伝えることがでますよね。だから、ブックトレイラーを作る時、小説の持つ雰囲気は間違えないようにしたいなって思ったんです。ブックトレイラーを見て感じた雰囲気と、本を読んだ雰囲気が全然違うものになると、嘘をつくことになってしまいますからね。逆に、小説に無いシーンを撮っているのですが、これは雰囲気を伝えるための味付けというか創作で、嘘にはならないと考えています。」
——「パーティ」の場合ですと、前回の話にもあったように、原作は過酷な設定と友情の話ということでしたが、当然そこに山田悠介さんのオリジナリティというか、ちょっと不条理な世界観がありますよね。それをどうやって非常に短い映像の中で表現できるのだろうかと思っていたら、こうきましたかってラストで、監督の映像のオリジナリティが加わることで、読後感と映像鑑賞後感が、ある意味揃っていると感心しました。
「小説の中のシーンからだけ選んで映像化しても、世界観を表現するのは難しいですからね。」
——でも小説の持つ世界観を伝えるということは、内容によっては、難しい場合もあると思いますので、我々としては、ブックトレイラーは本の予告編といっても、予告編風、ショートフィルム(短編映画)風、装丁(カバー)デザインの動画版というバリエーションがありますと逃げています(笑)。
「ショートフィルムというのは結構ハードル高いんじゃないですか? 短い時間に物語を成立させ、語らないといけないことは語らないといけませんからね。予告編風は、ある意味、投げっぱなしでいいというか、盛り上げるところを盛り上げて、後は本を読んで完結して下さいということですから。」
——そうですね、厳密にはショートフィルム風ってのは正確ではないですね。映画の予告編って映画を見た後はもうあまり見ないけど、ブックトレイラーは本読んだ後も、読まない人も、一つの短い映像として楽しんで欲しいなという意味でのショートフィルムということです。
「確かに。映画の場合は本編がありますが、ブックトレイラーの場合はないですからね。唯一の映像ってことで独立して存在できますね。」
——特に今回は、ブックトレイラーを見て「パーティ」を読んだ人が、読んでから、またブックトレイラーを見ると、「あっ、そういうことだったのね」って思えるように巧みに作られているので、理想のブックトレイラーです。試行錯誤で始めたブックトレイラーですが、一つのお手本になるような作品を作って頂き本当に感謝です。ありがとうございました。
ブックトレイラーの今後
——最後に、今後出版社の方から、ブックトレイラーを作って良いという許可をもらって、学生など映画監督を目指す方々に作ってもらうというようなマッチングの場も作っていこうかと思っているのですが、アドバイスなどを頂ければ。
「ポイント・オブ・ビューですね。小説が何を伝えたいのかを掴み、それを自分の映像でどう表現するかですね。ブックトレイラーは原作がありますから、小説のポイントがぶれないことは重要ですが、かつ、見た人が「監督はこれがやりたかったのね」というポイント映像があり、そこにオリジナリティがあれば魅力的な作品になると思いますね。それから60〜90秒の予告映像とはいえ面白い映像にしなくてはいけないので、足りない要素はどんどん足していった方がいいと思いますよ。」
——貴重なアドバイスをいただき、ありがとうございました。